災害時に役立つ!SNS・災害伝言板の「情報の信頼性」を見極める実践ガイド
災害時、スマートフォンは安否確認や情報収集のための重要なツールとなります。しかし、情報が瞬時に拡散するSNSやインターネット上では、不確かな情報やデマも同時に流れ込む可能性があります。混乱の中で誤った情報に惑わされず、正確な情報に基づいて行動するためには、情報の信頼性を見極める知識が不可欠です。
このガイドでは、主要なSNSや災害伝言板を利用して安否確認や情報収集を行う際に、「どの情報が信頼できるのか」を判断するための具体的なポイントと実践的な方法を解説します。多忙な中でも効率的に、そして確実に役立つ情報を得るための知識を習得し、いざという時の冷静な判断に役立ててください。
1. 信頼できる情報源の特定と事前準備
災害発生時に最も重要なのは、信頼できる情報源を迅速に特定することです。普段から以下の準備を行い、緊急時に備えましょう。
1.1 公式アカウントのフォローと通知設定
地方自治体、警察、消防、電力・ガス・水道会社、交通機関、気象庁、そして主要メディアなど、公式の情報発信元をSNSでフォローし、通知設定をオンにしておくことを推奨します。
- X (旧Twitter)、Facebook、LINE: 各プラットフォームで、以下の種類の公式アカウントをフォローしてください。
- 政府機関・自治体: 内閣府防災、首相官邸(災害・危機管理)、都道府県・市町村の公式アカウント
- インフラ機関: 電力会社、ガス会社、水道局、JR・私鉄各社の運行情報アカウント
- 報道機関: NHKニュース、主要新聞社、テレビ局の災害情報アカウント
- その他: 気象庁(地震、津波、気象警報など)、災害伝言板(Web171)の情報連携アカウントなど
1.2 公式ウェブサイトのブックマーク
各機関の公式ウェブサイトも、災害時には信頼性の高い情報源となります。特に以下のサイトをスマートフォンのブラウザにブックマークしておくと便利です。
- 気象庁: 最新の気象情報、地震情報、津波情報
- 内閣府防災: 防災情報の総合ポータルサイト
- 各自治体ウェブサイト: 地域に特化した避難情報、被害状況、支援情報など
- 災害用伝言板(Web171): 登録・確認方法を事前に把握しておきましょう。
2. 各SNSにおける情報の信頼性評価ポイント
情報が溢れるSNSで、信頼性の高い情報とそうでない情報を見分けるための具体的なポイントを解説します。
2.1 X (旧Twitter)
情報の拡散性が高いXでは、特に慎重な判断が求められます。
- 認証マークの確認: 青いチェックマーク(認証バッジ)が付いているアカウントは、その組織や人物が公式であることを示しています。まずは認証アカウントからの情報を優先的に参照してください。
- 発信元の確認: 情報がどこから発信されたものかを確認します。個人アカウントからの情報よりも、公的機関や報道機関の公式アカウントからの情報に高い信頼を置くべきです。
- 公式リツイート・引用リツイート: 公的機関やメディアが、別の信頼できる情報源をリツイート・引用リツイートしている場合は、その情報も信頼性が高いと判断できます。
- 複数の情報源との照合: 一つの情報だけで判断せず、異なる複数の信頼できる情報源(他の公式アカウント、報道機関など)で同じ情報が報じられているかを確認します。
2.2 Facebook
Facebookでは、大規模災害時に「災害時情報センター」が自動的に開設されることがあります。
- 災害時情報センターの活用: Facebookが提供する災害時情報センターでは、安否確認機能と、地域ごとの信頼できる情報(公式情報、友人・知人からの情報)がまとめられています。積極的に活用しましょう。
- 公式ページの確認: 自治体や報道機関の公式Facebookページから発信される情報を確認します。
- シェアされた情報のソース確認: 友人や知人がシェアした情報も、その元々の情報源が信頼できるものかを確認する習慣をつけましょう。不明なURLや見出しだけの記事には注意が必要です。
2.3 LINE
LINEはクローズドなコミュニケーションが中心ですが、公式アカウントや「LINE安否確認」を通じて重要な情報が得られます。
- 公式アカウントからの情報: 自治体やライフライン、メディアのLINE公式アカウントからのプッシュ通知やタイムラインの投稿は、信頼性が高い情報です。
- 「LINE安否確認」: 災害時に友だちの安否状況を一覧で確認できる機能です。ここに表示されるメッセージは、本人が入力した情報であるため信頼できます。
- グループチャット内の情報: 身近な人からの情報も重要ですが、それが「又聞き」の情報でないか、どこからの情報かを尋ねるなど、慎重に確認する姿勢が大切です。
2.4 Instagram
視覚情報が中心のInstagramでは、写真や動画の真偽にも注意が必要です。
- 公式アカウントからの情報: XやFacebookと同様に、自治体や報道機関の公式アカウントが発信する情報に注目します。
- 写真・動画の信憑性: 災害時の衝撃的な写真や動画は瞬く間に拡散されますが、過去の災害の映像やフェイクである可能性もあります。キャプションの発信元や内容、投稿日時を確認し、安易に信じたり拡散したりしないようにしましょう。
3. デマ・誤情報の見分け方と対処法
災害時には、不安や焦りからデマが広がりやすくなります。以下の点に注意し、デマに惑わされないようにしましょう。
3.1 情報の速報性と確報性の違いを理解する
- 速報: 災害発生直後に出される情報は、断片的なものが多く、後から内容が修正・訂正される可能性があります。
- 確報: 時間が経ってから、複数の情報源によって裏付けられた情報です。速報だけで判断せず、確報を待つ姿勢も重要です。
3.2 感情に訴えかける情報に注意する
「緊急」「助けて」「拡散希望」といった強い言葉や、感情を煽るような表現が多く含まれる情報は、デマである可能性も考慮し、冷静にその内容を精査してください。
3.3 一次情報と二次情報の区別
- 一次情報: 災害現場で直接見聞きした人や、公的機関が直接発信した情報です。
- 二次情報: 一次情報を基に、誰かが解釈したり、別の人が伝聞したりした情報です。情報が伝わる過程で、誤りが生じる可能性があります。可能な限り一次情報源を確認するように努めましょう。
3.4 情報の真偽が不明な場合の行動
- 安易に拡散しない: 不確かな情報や真偽が不明な情報を拡散することは、混乱を助長し、場合によっては被災者へのさらなる被害につながる可能性があります。
- 情報提供者に確認を求める: もし可能であれば、情報の発信元に直接、情報の出典や詳細を確認することを検討します。
- 公的機関に問い合わせる(緊急時を除く): 不安な情報があれば、公的機関に問い合わせることもできますが、緊急時は電話回線が逼迫するため、やみくもな問い合わせは避けましょう。
4. 補足情報・活用術
4.1 災害用伝言板(Web171)の活用
Web171は、インターネットを通じて安否情報を登録・確認できるサービスです。災害時に電話回線が混み合っても利用しやすい特徴があります。
- 登録と確認: 携帯電話番号や固定電話番号を入力してメッセージを登録し、家族や友人がその番号でメッセージを確認できます。
- 情報収集の側面: 公的機関がWeb171に情報を登録するケースは稀ですが、個人の安否情報に特化しているため、身近な人の状況把握に役立ちます。
4.2 情報発信時の注意点
自身が情報を発信する際は、以下の点に留意してください。
- 正確な情報のみを: 不確かな情報は発信せず、自身の目で確認できたこと、公的機関が発表した正確な情報のみを共有しましょう。
- 個人情報への配慮: 被災した場所や個人の特定につながる情報、他者のプライバシーを侵害する可能性のある情報は発信しないように細心の注意を払ってください。
- 状況の変化を考慮: 情報は刻一刻と変化します。古い情報を誤って拡散しないよう、最新情報に更新された場合はその旨を明確に伝えることが重要です。
まとめ
災害時におけるSNSや災害伝言板の活用は、安否確認や情報収集において非常に有効な手段です。しかし、その利用においては、情報の信頼性を見極める「情報リテラシー」が不可欠となります。本ガイドでご紹介した具体的なポイントや対処法を日頃から意識し、いざという時に冷静に、そして的確な行動を取れるよう準備を進めてください。
平時から公式アカウントをフォローし、情報の真偽を確かめる習慣をつけることこそが、あなた自身や大切な人々を守るための重要な一歩となります。災害に備え、今日から実践できることを始めていきましょう。